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2011年09月27日

メディアを信じ過ぎないことがこれからの生きる道

 テレビ・新聞など、日本のマスメディアが、福島第1原子力発電所の事故と原子力発電そのものに関して、「ジャーナリスト」として、どれだけ、ありえないふるまいをしてきたかがわかる必読の書を紹介したい。


 上杉隆&烏賀陽弘道「報道災害【原発編】〜事実を伝えないメディアの大罪」(幻冬舎新書)は、いまだに、政府や東京電力の発表をたれ流しして、情報を出せと迫ることすらしないマスメディアの状況と、そこに至る経緯や背景をズバリと指摘して分析している。

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 脱原発的な言論を軽視し、電力会社と経済産業省、そしてそこに関係するさまざまな組織から出てくる「おどし」(原発を再稼働させないと日本の経済が崩壊する……)を検証することなく、そのまま報道して、明らかに原発維持派を応援しているのが、いまのマスメディアだ。

 その証拠に、電力不足に対して、「こうすれば足りる」とたくさんの提案がでているのに、それを電力会社にぶつけて質問しようとはしない。また、「事故時運転操作手順書」をほとんど黒塗りにして見せようとしないとか、原子力発電の経費や電気料金を計算・試算するのに必要なデータもいっさい出さない(だから電力会社の「これだけ電力不足」という計算を検証するすべがない)とかいった理不尽なことも全く追及しない。あ、東京電力の賠償請求書類が記入するページだけで60ページもあり、きわめて分かりづらくなっていることに対しても、どこもキャンペーンを張らない……それで被災した人に寄り添っていると言えるのか。あの枝野経済産業相でさえ「内容を見てあぜんとした」と言っているのに。


 上杉さんと烏賀陽さんは、大メディアが機能していない原因のひとつを「記者クラブ」に求める。記者クラブは、記者会見を独占し、情報開示をしつこく迫るフリーランスのジャーナリストを徹底的に締め出してきた。そして、政府各省庁や大企業となれ合って、何の疑問も持たずに、発表を画面や紙面に出す「広報」機関に成り下がっている。

 脱原発を強調する論調によく「偏っている」とレッテルが貼られるが、「偏っている」のは大メディアの方だ。これまで「安全神話」を流し続けてきた反省もせず、すでに福島第1原子力発電所はかなり安定しているかのように報道し(事実、水素がたまるなどまだ予断を許さないことばかりだし、燃料棒がどういう形になって溶けてどこにあるのかだっていまだに全くわかっていないくらいで、収束にはほど遠い)、国際レベルよりはるかに高い基準値で農産物・水産物が安全だと言ってしまっているのだから、今も「安全神話」を再生産していることになる。
 
 このあたりは、具体例も満載でリアルにこの本に描かれているので、大メディアを信用したら大変なことになる、という現状を理解するためにも、ぜひ目を通してほしい。「風評」という言い方がおかしい(うわさではなく、少量でも放射性物質は含まれているのだから)こともよくわかる。


 そして、この本はただ批判するだけの本ではない。上杉さんが作った「自由報道協会」のこれまでの活動や意義も詳しく書かれている。これは記者クラブとは別に作られたもので、独自に記者会見を設定し、もちろん取材者の制限はなく、記者会見の模様は、Youstream などでノーカットで放送される(もちろん後でも見られる)。今まで、大事なところが恣意的にカットされた=「編集」された記事やニュースしか見ていない私たちにとって、大きな武器を得た感じがする。というか、これを見れば、大メディアがいかに勝手な情報操作をしているかがよく分かる。すでに、堀江貴文、小沢一郎、孫正義など、きちんと自分の言いたいことを伝えてほしいと思う人が記者会見場として利用している。

 この本は、報道災害からいかにして身を守るかで結ばれている。洗脳されることなく、自分のちからで情報を選び取り、しっかり判断する道筋も示している。警察発表をチェック(自主取材)せず、まんま出すだけなのが事件報道だとみる……広告収入があるメディアから、公平な情報は決して発信されないと知る……テレビはただではなく、ちゃんと広告費は価格に上乗せされているのだから、有益な情報は金を払ってでも得るべきだ……示唆に富む発言が続く。

 本の形式は、2人の対談なので読みやすい。しかし深い内容ばかりで、日本社会の暗部に迫っている。読もう。


 ちなみに、著者のひとり、烏賀陽さんは、オリコンに批判的な記事を書いていたため、オリコンから言いがかり的な、事実にも反する提訴を受けた人。結果はオリコンの実質的敗訴。オリコンの今の企業体質のひどさも知ってほしい[詳しくはこちらをクリック]。

posted by さとる at 21:48| 原子力発電