無料 アクセス解析RMT

2011年07月10日

きたやまおさむ・山本コウタロー・山本潤子〜ライブの渋味とうまみを堪能

 7月9日、きたやまおさむ・山本コウタロー・山本潤子のジョイント・チャリティライブ「Songs for 福島」へ行って来た。


 相変わらず、東京の繁華街を歩くのはイヤだ。原宿クエストホールで、音楽にパワーをもらっても、駅まで人だらけの道を歩き、山手線に乗ってマナーのひどい乗客に出会えば、あっと言う間にそれを使い果たしてしまいそうになる。

 コンサート会場でも、申し訳ないが隣の太った男性の汗まみれの体臭がひどく(もともと汗くささは苦手ではないのだけれど、これは特別)、後ろの席のおばちゃんたちの、本人たちは意識しないであろうけっこう通る声の会話にいらだつ。


 ……なんて前フリは、そんなことを吹き飛ばすくらい、すばらしいライブだったことを書きたいから。

 それぞれのメンバーの解説がやっぱり必要だろーなー。全員、ミュージシャンとして有名だったピークは60年代終わりから70年代だからね〜。福島に、ここ東京の電気を依存してきて、今度の事故が起ったのだから、とライブの趣旨が語られ、全員で「祈り」という曲を歌ってスタート。以下、登場順に。


 山本コータローは、ソルティ・シュガー、ウィークエンドとというグループで活躍していて、今はソロ。「渡る世間は鬼ばかり」で「おやじバンド」をやっている。「走れコータロー」というコミックソングから、叙情フォーク「岬めぐり」まで4曲。途中の原子力発電問題とのかかわりのトークにグッと来る。

 彼は、もととも原子力発電に反対する活動にかかわっていて、チェルノブイリで事故があった後、1989年に「脱原発」を掲げて参議院議員に立候補するも落選。それであきらめてしまって、今回の福島第1原子力発電所の事故を止められなかったことを悔やんでいるという。まだ悩んでいて心が落ち着かない、とも言う。

 「福島での事故後に書かれた『同心円』、放射性物質は、同心円状ではなく風向きにしたがって広がっていく、と当時あれほどみんなで言っていたのに、まったく浸透していなかったんだ、とがっくりした」「未来をになう子どもたちが暮らす学校が、年間20ミリシーベルトまでOKなんてありえない、何としても救わなければ……」自分の後悔をベースにして、でも力強く訴える骨太の言葉にうれしくなる。後で、当時、脱原発のグループが3つに分裂してしまって……一緒に選挙に出ていたら変わったかも……など、深く考え込む姿が強く印象に残る。


 そして、きたやまおさむ(北山修)。フォーク・クルセダーズというグループから「帰ってきたヨッパライ」というミリオンセラーを出して、日本のフォーク、そしてロックの創始者とも言える立場に立った人。作詞者としても、精神科医としても活躍している。

 「イムジン河」から「帰ってきたヨッパライ」まで4曲。いじめを歌った、どぎつい「西瓜太郎」はインパクトがあった。「人間にはいろんな側面があって、それを全部歌わなきゃ行けないと僕は思ってる。でも、人間の負の部分は、受け入れられにくいので、どうしても、怒りや底なしの哀しみや怨念は時々しか歌えない…」と解説が付いた(なるほど〜「演歌」に時として感動するのは、他の J-POP にはない「怨念」や「悲劇」を歌っているからなんだ!)。

 彼は、ずっと音楽活動を共にしてきた加藤和彦が2009年に自殺したことにこだわっていて、心に決着を付けるのに苦労しているという。「いさぎよい」という言葉は、簡単に死ぬことにも通じるから嫌いだという彼は、そこから、人間ぐだぐたして、迷い悩み、それでも生きているのがいいんで、菅首相もぐずぐずして辞めないでいるうちにだいぶ「脱原発」にシフトしてきたから、このまま辞めずにぐぐっと脱原発へ政治をシフトさせてからやめてほしい、なんてとこまで話は発展していた。


 民主党の次期代表候補でもある前原誠司が「原子力発電をなくす、というのは、ポピュリズム(大衆迎合)だ」なんてバカなことを行っている情勢だから、菅がそのまま首相を続けるほうがいいし、そもそも政権争いは置いといて、震災復興と原子力発電問題に取り組んでほしいよね〜。


 そして、もうひとりは山本潤子。「赤い鳥」「ハイ・ファイ・セット」のリードボーカルを務め、今はソロ活動中。「中央フリーウェイ」「卒業写真」「冷たい雨」など松任谷由実の曲(カバーして大ヒット)を中心に5曲、落ち着いた大人の声と表現を聴かせてくれた。

 セットはいたってシンプル。背景のスクリーンにイメージ映像が流れるだけ。バックミュージシャンも各2人ずつ。そしてアコースティック。「別に節電でこうしてるんじゃないですから」ときたやまおさむ。ミュージシャンたちに、当時そのままに、反体制的な感性が垣間見られるのがとても心地よい。


 私たちはいつから、理不尽なことに怒らなくなったのか。エンディングは、フォーク黎明期の大名曲「翼をください」と「あの素晴しい愛をもう一度」(きたやまおさむ/作詞、加藤和彦/作曲)。歌詞を少し前にコールして、みんなで歌おうとの呼びかけに、ほとんどが応える会場。これからも自然体なペースで、福島のためのライブを続けるという。また行かなくっちゃ。
posted by さとる at 20:32| 私を支える歌