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2011年05月22日

[5月19日の日記]一青窈の世界に気持ちよくはまる

[5月19日]

 先日(5月17日)、保谷市こもれびホール(東京都西東京市)に、親友と一青窈のライブを観に行って来た。

 レトロな書き割りを背景(昭和初期の町並み)に「かわゆい」(と感じてしまう)一青窈が登場する。声を出したとたん、会場はすーーーっと一青窈の世界になる。それくらい心地よく、状況を圧倒する歌声だ。

 自分は、アーティストを好きになる時、声質と、日本語の発音がくっきりしていることが、重要な要素になる。歌詞が聴き取れないと欲求不満になるたちなのだ。もちろん一青窈も大好きな範囲に入る。


 一青窈は、昭和の「歌謡曲」のテイストを自作の曲に盛り込むことをずっと宣言している。今回のライブでも、悲しみ・切なさ・恨み辛み・怒り・空しさなどの「情念」が最近の歌にないから、それが残る「歌謡曲」の要素を大事にしたいと語った。


 実際このところのライブでは、中盤に必ずカバーコーナーがあり、今回も奥村チヨの「終着駅」など3曲を、原曲を知らない人には一青窈の作品かと思わせるくらい「消化」して歌った。私には、心にある感情を出す、ってこういうこと、忘れないでね、とメッセージを送っているように感じた。

 だから、アンコールに中島みゆきの「時代」が入るのは必然のようなもので、「3.11」で衝撃を受け、しばらく身体と心がバラバラだった、と語る一青窈は、彼女独特の「さりげない」激しさで「時代」を熱く歌い放っていた。

 「安全だ」「安全だ」という外からの言葉と自分の内面はなじまず、このライブをどう構成するか悩み続けたとも言う。「海苔は甲状腺にいいんですよ」(グッズとして以前から一青窈特製の海苔を売っている)なんてひとことにも現在の状況を勉強しているあとが感じられてうれしかった。福島第1原子力発電所が出している放射性物質のうち、ヨウ素は甲状腺ガンを引き起こす。その甲状腺には、海苔やワカメが必要なのだ。


 節電モードの中、ライティングが曲ごとに丁寧に工夫されていて見事で、バンドとの相性も抜群、と来れば会場は終わりまで、一青窈の世界。客席に降りてきて一周してくれるサービスもあり、ヒット曲「もらい泣き」を「泣き寝入り」と間違えた人のエピソードなどを含んだあったかいトークもあり、なんてったって彼女の声には「ちから」があってぐいぐいこちらの身体に入ってきて「癒し」を与えてくれる。聴き進むうちに気持ちが鎮まり、終わった後も、またこの世界にひたりたくなる余韻をたっぷりくれるライブだった。

 歌はますますうまくなっている。製作中のアルバムからの曲もよかった。21曲も聴けてたっぷり感も満点。きちんと世の中と、また自分の内面とつながっていて、「情念」を表現できる数少ない歌い手としての彼女の世界、もっと知られてほしいな。
posted by さとる at 18:04| 一青窈