無料 アクセス解析RMT

2011年05月17日

[5月6日の日記]実はこわい「復興アクション」〜「風評」は「風評」なのか

[5月6日-2]

 昨日、メトロ東西線(東京の地下鉄)に乗っていたら、「政府広報」の中吊り広告が目にとまった。4月28日から政府主導で始まった「復興アクション」キャンペーンの宣伝だった。「東北のために、被災地のために、日本のために」、「○○○で応援しよう」というバナー・カード・ポスター等を、一人ひとりが手作りし、復興のちからにしようというものらしい。


 このキャンペーンの効果に疑問を思ったのは、その中吊り広告に示されていた「具体例」からだった。例えば「バーゲンで応援しよう」には「オシャレして経済を活性化」という解説。「スポーツ観戦で応援しよう」には「日本経済を元気にしよう」の解説。うーん、わからん。過度な自粛をやめて、まではわかるのだけれど、短絡的に感じてしまうなぁ。

 さらに「風評に惑わされないようにしよう」の項目には、「野菜サラダで応援しよう」という例があり「東北・関東の野菜を食べよう」と説明されている。これまた、こんな単純過ぎるメッセージでだいじょうぶなのだろうか。このメッセージの前提には「東北・関東の野菜が安全である」という前提がなければならない。

 4月27日の衆議院決算行政監視委員会の席上、参考人の「インターナショナルアクセスコーポレーション」(米国で1991年に設立されたリサーチ会社)上級原子力コンサルタント・佐藤暁氏が、はっきりと「東京の足立区のベンチでも、1平方センチ当たり、3ベクレルの汚染がありました」と証言している。これは福島の放射線管理区域の4ベクレルに比べ、少なくない値だという。こんな重大な発言をどうしてメディアは、これぞとばかりに追わないのだろうか……という怒りは置いておいて、現実に野菜に放射性物質が付着しているという事実がある中で、単純に「野菜を食べよう」と言えるのだろうか。

 ▼この委員会の動画は、以下のサイトで見られます。
  [前半]http://www.youtube.com/watch?v=Hx8BMx09Ie8
  [後半]http://www.youtube.com/watch?v=oXwd-vJJEq0

 もともと「風評被害」という言葉に、とっても違和感がある。「3.11」以来、野菜や水や魚介類など、飲食物に対して放射性物質が降り注いできたことに間違いはないわけで、「完璧に安全」、つまり福島第1原子力発電所の事故以前の状態に戻っているわけではないのだ。だから、「飲食物に危険性がある」は、「風評」つまり根拠のないうわさではない。逆に「飲食物は安全である」が「風評」かもしれないのだ。実際、飲食物にどのくらい放射性物質がついていても安全か、に関しては学者によって意見がかなり分かれている。だとしたら、それを「政治的」に決着するなんて、とてつもなくこわい。

 農業をやっていた人たちの中にも、少量であっても、放射性物質が付いている野菜を出荷したくない、と生産をやめている人たちがいる。農業できなくなることへの保障は、東京電力と国が考えるべきことであって、私たち自身がやみくもに、東北・関東の野菜を食べれば、問題が解決するわけではない。もし、身体の被害がほとんどないと推定されるとしても、放射性物質付きの野菜と、付かない野菜があったら、後者を選ぶのがそんなにおかしなことだろうか。

 福島第1原子力発電所から30キロ圏を超えた北西部の地域の放射能汚染もひどく、避難が始まっているが、風によって、同心円状ではなく、かなり先まで放射性物質が飛んでいくことは、文部科学省緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による計算結果によって推測されていたのに、それを使わないし、公開したのがつい先日……そんなありさまで、農産物が安全だ、と政府に言われて信じることができるだろうか?

 無理して放射性物質が付いた野菜を食べてこそ、復興なんだ、と声高に言われ続けることは、「食べるのがこわい」という当然の感情を、表明できなくするかもしれない。それもまた、とてつもなく「こわい」。


 ▼SPEEDI のデータについては、もうややこしくて見づらいけれど、
  http://www.nsc.go.jp/mext_speedi/index.html
  http://www.nsc.go.jp/
  などから見られます。自分で考える材料はいろいろ提供してくれます。
 ▼また、今日の日記に関しては、
  マイミクの「電慈デジサン」さんの日記、つぶやきを、
  参考にさせていただいた部分があります。ありがとうございました!
posted by さとる at 12:21| 原子力発電