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2009年07月17日

w-inds. が創り出した、とーっても楽しい空間[後編]

 7月14日、東京国際フォーラムで行われた w-inds. のライブに行った。彼らのチャレンジは続いていた。


 何度かこのブログでも書いているけれど、日本の芸能界/音楽業界は、アーティストを「育てる」のを超不得意としている。人気だけに頼ってキャスティングし、賞味期限を過ぎれば使い捨て。

 テレビからプロダクションからレコード会社まで、その傾向がまん延し、かつてのように売れなくても尾崎豊を育て続けたような姿勢は、どこかへ消え去ってしまった。


 そんな中で、w-inds. が人気をキープし続けているだけでもすごいことなのに、彼らのパフォーマンスが進化し続けていることもまたとんでもなくすごいことだ。

 現在の芸能界/音楽業界は、テレビ局やプロダクション/レコード会社、さらには一般企業まで加わってチームを作ってアーティストを売り出していくことが多い。だから、ひとつの方針を決めるためには、いろんなとこの承認を得なければならない。

 つまり、アーティストが表現者であるはずなのに、アーティスト自身で自分たちの「進化」の方向を決められないことが多いのだ。芸術性より金もうけなのだ。それはある程度までしかたがないとしても、アーティストはよほどしっかりしていないと、自分が本当にやりたかったことを見失ってしまうことも多い。


 だから、どんなパフォーマンスをステージで見せるか、すでに自分たちのスタイルと方向性を明らかに意識している w-inds. としても、大きなチームの中で思い通りにはなかなか行かないであろうことが察せられる。

 でも今回は、かなりの転換点になるパフォーマンスだったと思う。できなかったことがあるかもしれないけれど、やりたいことを斬新に展開させていたように感じた。


 歌がどんどんうまくなっていることはもう当然なので、ダンスについて言えば、一曲の中での「流れ」が明らかにきわめてなめらかになっている。ぎこちなさやムダな動きが最大限取り除かれ、すごくシンプルだけれども、身体が、リズムやメロディに合わせて、しなやかな動きを、それも徹底的に自然に表現している。マイケル・ジャクソンのダンスをめざせるかの勢いでもある。

 それが実現しているということは、足の上げ方、手の回し方、身体のひねり方……小さな動きのそれぞれが練習によって徹底的に磨かれていることの証拠だろう。

 だから逆に手を抜いているのではないかと思えるほど、軽々と動いている部分もあるくらいだ。それほど自分の身体を自在に操れるようになっているのではないか。


 今回はさらに、ライティングとのコラボレーションが見事だった。とにかくステージに光と映像があふれているのである。一般的な照明を豪華に使いまくるだけでなく、スクリーンと床にも光と映像が次々と現れては消える。

 だからステージ全体、いやホール全体が、ひとつのヴァーチャルな光空間になり、それと一体化して w-inds. が身体をくまなく使って表現しているのだ。

 多彩な色、多様な形、イメージあふれる映像、変化するスピード、予期せぬ光たちの組み合わせ……観る側も、この空間にひたることで、心のテンションを上げていくことができる。それもただハイになるのではなく、歌声とダンスという強力な武器によって、穏やかで、観るものを包み込むような雰囲気を創り出すことに成功している。


 その他にも、女性ダンサーの初参加、曲間のつなぎ方の工夫など「進化」を見つけるのがこんなにたやすいライブも珍しいといえるほど、新しさ、正確には新しい段階へのチャレンジを感じた。

 バックダンサーと一体になっているようで、w-inds. の3人はやはり別格のオーラを見せてくれることもうれしかった。バックダンサーたちの力量も並みでないのだけれど、その中に3人が交じっても、埋没なんてしないし遜色ないし、それどころか、3人だけふわっとした光に包まれているような感覚を覚えさせてくれる。

 「You are...」では、歌詞に上司が女性という設定があるので、バックダンサーがサラリーマンに扮して、コミカルなシーンを見せたりなど、ダンスのコンセプトにもものすごく広がりが出てきた。これで楽しくならないはずがない。


 そういえばライブの選曲も渋い。シングルのタイトル曲は、20曲中たった7曲。アンコールを除くと、18曲中5曲になり、その5曲はすべて2007年以降の曲。アンコールの「四季」と「ブギウギ66」もそれぞれ、2004年と2006年。

 つまり、昔のヒット曲には決して頼らない、潔い曲の並べ方をしているのだ。これは、今まさに進行中の、そしてこれからの「進化」に自信がなければできないことだ。

 かつてのシングルの「なつかしさ」やポップさの力を借りずに、新曲も1曲まじえて、楽しいライブ空間を創ってしまえるのだから、その力量はもっともっと評価されてしかるべきだ。


 でも、本当に楽しかった。それがライブには何より!
posted by さとる at 00:07| w-inds.