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2009年04月06日

アルバム『エンカのチカラ』のソコヂカラ

 ちょっと感動もののコンピレーションアルバムがある。『エンカのチカラ』といって、70年代編と80・90年代編とが発売されており(近く続編も発売)、大物演歌歌手がポップスのヒット曲をカバーした作品を集めたものだ。これがまた絶品!


 詳しい曲目はこちらをぜひ見ていただきたいけれど、アーティストと曲の組み合わせを見ているだけで、どんな風に歌われているだろうと、興味がふつふつと湧いてくる。そして、アルバムを聴くと、知らず知らずのうちにリピートしていてくせになりそうな名唱が途切れなく並んでいる。

 例えば、石川さゆりの「ペッパー警部」(オリジナルはピンク・レディー)なんて、聴いて初めて、ああ、こんな表現法もあったのかと「目からウロコ」状態になる。一方、五木ひろしの「TSUNAMI」(オリジナルはサザン)は、何となくこぶしをつけてこんな風に唄っているかな、と想像するとほぼ当たる。しかし当然彼なりの解釈が加えられているから、そこに加えられている「抒情」は個性的で、サザンとは違う味わいを出すことに大成功している。ちあきなおみの「氷の世界」(オリジナルは井上陽水)に至っては、音楽表現の多様性や迫力(すごみ!)に神々しい気持ちにさえなる。

 以下、キリがないので、わたしがインパクトを感じたものを列挙すると、美空ひばりの「時には母のない子のように」(カルメン・マキ)と「昴」(谷村新司)、八代亜紀の「いとしのエリー」、前川清の「HOWEVER」(GLAY)、吉幾三の「for you...」(高橋真梨子)……(カッコ内はオリジナルのアーティスト)。ホントは「全部っ!」って言いたいところ。


 とにかくどの曲も、歌い手たちがしっかり曲を消化して自分のものにしているので、オリジナルとは別のヒット曲を聴いている錯覚にすらおちいるほどだ。アルバム2枚で、私の心の中の「ヒット曲」が25曲増えた。

 どうしてもリズムや「ノリ」が強調されて、ヴォーカルの本物のすごさが軽く扱われるようにもなってきている J-POP 界にあって、まさに人間の肉声が紡ぐ表現力に酔いしれることができるのがうれしい。


 以前から思っていることなのだけれど、日本ではジャンルを超えたカバーが注目されることが少なすぎる。ロックアーティストが演歌なんか歌ったら、ひんしゅくを買うこことさえあるし、やっても「お遊び」で終わってしまう。逆もまた同じだ。

 しかしこのアルバムを聴いてもらえばわかるのだけれど、ジャンルを超えた歌からは、そのアーティストの新しい可能性や今まで気付かなかった可能性を感じることができるし、ヒット曲を改めて楽しめるし、いいことずくめなのだ。

 美空ひばりが生前、広いジャンルの歌を歌いたいのに、演歌的領域の歌しか歌わせてもらえないことを嘆いていた時期があったと聞く。「異業種」カバーは、アーティストの力量すら向上させるだろうし、新しいファンを獲得できるかもしれないし、プロデュースする側にとっても、うまく使えばすばらしい「武器」になるはずなのに、そこに気が付く業界人は多くないように思える。


 だから、そんな視野の狭い音楽業界に一石を投じたこのアルバムの意義はきわめて大きいと思う。このアルバムを企画・プロデュースしたのは、T2U音楽研究所の臼井孝さん。私は、音楽をピュアに愛する姿勢と、聴きたい人に聴きたい音楽をどう届けるかをいつも考えている仕事人でもある臼井さんをかねてから尊敬している。

 今回の『エンカのチカラ』はその臼井さんの面目躍如のクリーンヒットだ。これだけの楽曲を探してきて選定し、聴きやすく流れのある曲順に並べてアルバムにするのは並のセンスではできない。チャート的にも、発売元の予想を裏切る売り上げを見せている。

 J-POP とエンカの魅力が融合する快感をぜひあなたも味わってほしい![詳細はこちらをクリック!



posted by さとる at 12:00| 私を支える歌