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2008年11月07日

アンジェラ・アキ「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」のエバーグリーンさ

 プログを休んでいた間にどうしても書いておきたかった曲・アーティストたちもこれでラスト。アンジェラ・アキ「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」。これは今年の最大の収穫のひとつと言ってもいいほどの記憶に残るべき「名曲」だ。


 15歳の「僕」が未来の自分に向けて手紙を書く。悩んで苦しくて、誰も信じられない「僕」は「負けそうで 泣きそうで 消えてしまいそう」。

 それに対して未来の「大人の僕」は、苦くて甘い今を生きている。どこへ向かうべきか問い続ければ見えてくる、恐れずに夢を育てて、「今を生きていこう」、「負けないで 泣かないで 消えてしまいそうな時は 自分の声を信じ歩けばいいの」と訴えかける。


 この詩だけ読んでも、その秀逸な構成に感動する。それぞれが持っているはずの「ちから」を引き出す言葉が、10代にも届きそうだ。いや、全世代に届くことだろう。

 おまけに、この詩に付いたメロディが美しい。最初一節だけ聴いた時には単調に感じたが、どっこい、1曲まるごと聴けば聴くほど、練り上げられ、細かいところまで行き届いた音の流れが、どんどん心地よくなってくる。

 とりわけ同じメロディで歌われて最も印象深く聞こえる「負けそうで 泣きそうで 消えてしまいそう」と「負けないで 泣かないで 消えてしまいそうな時は……」の部分は、微妙に歌い方を変え、前者の気持ちをいつくしむように後者のことばへと駆り立てていく。最高に響くところだ。


 この曲は、NHK全国学校コンクール中学校の部課題曲になり、NHK『みんなのうた』でも放送された。これからも長く歌いつがれることになることだろう。

 アンジェラ・アキにも、年を重ねていくごとに違った味わいを付加しながら、一生もので歌い続けてほしい。それほど説得力のある歌唱と気合いだ。ほとんどピアノと彼女の声だけで、ここまでドラマティックなメッセージを込められた曲はそうない。


 この曲のパワーは、アンジェラ・アキが実際に10代の時に書いた「未来の自分への手紙」がもとになっていることだ。ねらって作ったものではない。シンガーソングライターの勝負所は、いつまで「自分」の内面から曲を湧き出させられるかだと思う。

 つまり経験の深さ・広さはシンガーソングライターの生命線なのだ。音楽業界で暮らしていくうちに、自分の日常が「業界チック」になってしまい、作った曲を聴く人の想いから離れていき、曲が作れなくなっていった人をたくさん見てきた。


 でもアンジェラ・アキには、決してそういうことは起こらないだろうと思わせる「気」がある。売れるまで長かった人だけが持てる「愛」「優しさ」「温かさ」とも等しい。私もこの歌を歌い続けたい。
posted by さとる at 23:50| 私を支える歌