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2008年09月29日

大野靖之、いよいよ打って出る![後編]

 9月28日、TOKYO FM ホールでの大野靖之ライブ「歌でしか伝えられない」は、大野さんが自分で宣言したとおり、未来へ向かって進んでいる大野靖之を存分に見せてくれた。


 実は、私はここである告白をしなければならない。過去を振り返らないためには、過去も見つめなければならないから、思い切って書こうと思う。


 大野さんの前回の一般ライブ(首都圏)は、3月28日のグローリア・チャペル(東京都品川区)だった。私にとっては、このライブは少し不満だった。ただそれをそのままブログに書く勇気がなく、とても中途半端な記事を書いてしまった。[見せたくはないけれど、それも「私」だから、「こちら」をクリックしてもらえれば読めます

 あの時いちばん心配していたのは声だった。高音の伸びとか、思いっ切り歌い切った時の迫力が、今ひとつ物足りなかった。小さくまとまってしまったのか、それとも学校ライブの連続でのどを痛めているのではないか。大野さんののどは、ありえないくらい強いと言われているが、それでも限界はあるのではないか。不安を感じていた。

 さらに MC もちょっと乗りすぎで、私の個人的に置かれている立場からすると、気分がロウになるところがあった。正直、MC は後からでいい、まず歌だよ、とさえ思った。大野さんが原点になる曲を歌い、続けて家族の「過去」を歌った大作「22歳のひとり言」を早めに歌ったように、私もこの気持ちを記しておかないと前に進めない。


 そして、このもやもやは、今回のライブでイッキに吹き飛んだ。

 声は、もう私の心と身体を次々と射ぬいていくし、その状態で彼の声にそのまま自分を委ねると、何とも心地いい。

 MC もわりと短めで、テンポよく曲に入っていく。曲間のコメントもよけいな装飾はそぎ落とされ、話の内容も、今の彼の想いを中心とした語りだけになっている。だからよけいにひとつひとつの言葉が心にやけに響く。


 ごめんね、大野さん、ぶっちゃけて言うと、パワーアップして、スーパーシンガーソングライターになって大野さんが帰ってきた気がする。イメージをくくられてしまう道徳講師から「歌でしか伝えられない」アーティストへ。何だかすんごくうれしい。


 大野さんはライブ中「元気があれば何でもできる」とくり返していた。まるで自分に向けても同じことばで励ましているかのように。また、その一方で、「落ち込んでもいい、辛いなら辛いままに、感情のままにしていていい、うんと涙を流していい、人間はいつかそれに飽きて未来に向かって元気になれるものだから」とも言っていた。

 大野さんもずっと、音楽業界の中にあって、どうやって自分の音楽を作っていくか、悩み続けている。今日はその一部を「エンタテインメントかドキュメンタリーか」という対立語で語っていた。これはかって関係者に大野さんが言われた言葉だ。大野さんは「エンタテインメント」にしようとしてけっきょく「ドキュメンタリー」しか自分はできないと思い直し、自分の世界観を信じて頑固に地道に活動を続けた。

 そして今、「ドキュメンタリー」でやって来た中で、こうすれば「エンタテインメント」にもつながるかという道が見えてきたという。そんなさなかの大野さんの言葉たちにはとてつもない重みがある。


 ライブの最後に大野さんは、「歌でしか伝えられない僕は、僕なりにメッセージを伝えていきたい、みなさんもみなさんのやり方で、愛とやさしさを伝えていってほしい」と強く述べた。

 後藤さんのギター、藤本さんのドラムス、長谷川さんのベース、横田さんのキーボード、三宅さんのバイオリン、そして全てのスタッフに感謝して、ライブはとじられる。私が好きになるアーティストはみんな、このスタッフたちへの感謝を忘れないところが素晴らしい。

 あ、それから、どんな夢でも夢を持とうと「友だち」を歌った時、彼の夢はもちろん「紅白出場」といつも通り宣言した。「今年だってあきらめてませんよ」。「いずれ出られるかもしれませんね」と言ったひとには、「かもしれない、じゃなくて、出るんです」と言ったそうだ。「かもしれない、は僕の辞書にはありません」とわらかす大野さんだが、眼も身体も本物だ。


 声援します、応援します、大野さんのメッセージが歌に乗って伝わって、この国が、もっとやさしくあったかい国になるように。

posted by さとる at 23:40| 大野靖之