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2008年07月15日

「CHANGE」朝倉啓太=木村拓哉総理のメッセージをどう受け止めるのか

 フジテレビ系「月9」ドラマ「CHANGE」が14日で最終回を迎えた。ぶっちゃけ、ここまでストレートにメッセージを伝えていいものなのか、と驚いた。今どきのテレビではなかなかあり得ないことだ。


 木村拓哉演ずる朝倉啓太首相は、永田町の陰謀によって、昔の収賄にかかわった大臣が明らかになり、辞任をせざるを得なくなるところへ追い込まれる。しかし周囲は、国民の目線で政治を行うことに目覚めた朝倉首相を引き止める。でも彼の決意は変わらない。

 ところが政治家であった父のめざしていたことを母親から聞かされ、かつて教えていた小学生たちの言葉に接して、朝倉は心が少しずつ動いて行き、前代未聞のナマ中継で国民に20数分間、自分の気持ちを語ることにする。

 このシーンはドラマとしても画期的で、ワンカット、つまり全く20数分間画像が変わらない。朝倉が本物の総理大臣であるかのように、ブラウン管から私たちに語りかける。


 それは、収賄に対するお詫びから始まり、かつて自分が政治に無関心だったこと、だから選挙にもいかなかったという地点から、ことの経過を、そして政治を語って行く。画面からは朝倉の、つまり木村拓哉の気迫がストレートに伝わってきた。

 朝倉は、議員たちが、国民にとって大事かどうかではなく、党利党略や派閥のボスのひとことで簡単に意見を変えてしまう、委員会の議論は意見の言いっ放しで、決して議論を深めて一致点を見出そうというものではない……政治の世界に対する率直な感想を述べて行く。

 そして総理大臣として、ほとんど徹夜で勉強しながら全ての書類に目を通し、自分の意志で判断していく(何も見ずにハンコを押す総理も多い)中で、自分が変えようと思えば政治も世の中も変えられるんだ、ということに気付いた自分を淡々と語る。


 そしてどうやってこのトーク(演説というよりは「トーク」がふさわしい)を終わらせるのかをかたずを呑んで見守っていると、小学生の社会科の教科書を持ち出し、そこにも載っている「国民主権」をわかりやすく説明し、自分で考えて議員を選んでほしいと熱く訴える。

 最後の最後に自分が総理大臣を辞めることを述べるが、同時に衆議院を解散することも宣言する。浅倉内閣を問う選挙ではなく議会全員が出直そう、という選挙だと述べ、国民のために身を粉にする議員を選んでほしい、と再度訴えてトークが終わる。


 いやぁすごかった。今もこのシーンの余韻が頭を離れない。ストーリーの方は、朝倉辞任を受けて総理に座る予定だった黒幕(寺尾聰)は目算が外れて驚き、チーム・朝倉(秘書官=深津絵里たち、SP、その他ブレーン)は拍手で迎える。

 チーム・朝倉のような官僚+総理+ブレーンが現れれば、確かに政治は変わるだろう。だが、最終回に描かれたあるエピソードの方がまだ現在の政治の現実だ。

 当初辞任だけを考えていた朝倉は、些細なことだが、辞任までの1週間でできることはそれしかないと言って、内閣の会議等で出て全く飲まれないお茶を廃止し、飲みたい人は各自水筒を持って来ようと提案する。ところがこんなことでも「長く続いていることは意味がある」と官僚たちから強烈な抵抗を受ける。それでも浅倉の説得で「60万円の節約」が実現される。こちらはリアルすぎるくらいリアルだ。


 世間はこの最終回の視聴率が高く、「ごくせん」を抜いた、というニュースが飛び交っている。それでいいのだろうか。浅倉のメッセージに触れた報道はほとんどない。これを考えるきっかけにしなくて、政治のことをいつ考え直すのだろう。

 このドラマの作者は「確信犯」でこんなすごいメッセージを組み入れたのだろうか。それともこれも含めてエンタテインメントなのだろうか。

 脚本をかいたのは福田靖。HERO シリーズや、特命係長只野仁シリーズなども書いている。2010年の NHK 大河ドラマ「龍馬伝」も担当する。ラインナップを眺めると、この人なりのポリシーを感じる。只野仁は社会の巨悪をいつも倒していたし。


 たかがドラマ、されどドラマ。私たちはこのドラマから吸収しなくちゃならないことがたくさんある。


posted by さとる at 23:20| 日記