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2008年05月26日

平川地一丁目インディーズ時代のアルバムを改めて聴く

 平川地一丁目の解散を知り、あわてて何とかお金の都合をつけ、彼らのアルバムの中で唯一持っていなかった、インディーズ時代、つまり「とうきょう」で2003年11月にデビューする前のアルバム「七つのひらがな」を買った。


 「七つのひらがな」を発売してほどなく、兄の龍之介は中学3年、弟の直次郎は中学1年になる。才能の開花の早さにあぜんとする。

 5曲入りのミニアルバム。直次郎は懸命に歌うけれども、さすがに「うん、うまいっ!」とは言いにくい。

 でも音楽というのは、上手い下手だけで判断していると、大変な聴き違いをする。彼らが5曲の中で歌っている世界は、微妙でデリケートな人間模様を切り取って表現されている。その巧みさにまず感動する。


 「この物語の一ページはどこですか?」「元気な人が言うほど 先にいくのは楽じゃない」……すごい歌詞がいっぱいあふれている。龍之介の作詞・作曲の感性も大したものだと思う。

 そして「時計を知りたいなら 他を当たってくれ」で始まる「時計の独り言」は強烈な印象が残る。動きたくても動けない時計に何か過去のトラウマ(たぶん恋愛?)を託した構成、見事というしかない。

 そして兄の作った曲の意図を必死で理解して、聴いていて痛々しくなるほど限界まで自分の曲として歌おうとしている弟。その姿に打たれれば、ただものでないとわかる。


 解散発表後のふたりのコメントなどを読むと、デュオを結成したのは、音楽をやりたいという動機だけではなく、複雑な家庭の事情が背景にあったらしい。

 弟の直次郎はそのあたりを、自分の意思でやり始めた訳じゃなかったので、最初のうちは無理やり音楽をやらされていた感じがあったと、率直に語っている。そんな中で兄の龍之介も苦しかった、戦いだった、と述懐している。

 それでも2人は歌うこと、演奏すること、音楽することの歓びを少しずつ知っていき、いっそう真剣に音楽に取り組むことになる。


 しかしやはり直次郎は「フツーの男の子に戻りたい」と思うようになった。俳優もやってみて、芸能界・音楽業界が自分の生きる居場所ではない、と感じたのかもしれない。

 そして早くから音楽活動を始めたがゆえに、「名の知られた人間」へのプレッシャーから解放されることが可能になる。だから「直次郎、もう一度歌ってくれ」なんて口が裂けても言えないな、と寂しいけれど強く思う。

 音楽を続ける龍之介の道も簡単ではないだろう。ふたりが「自分らしく」生きていけることを祈るばかりだ。


 あー、でも、このふたりのコラボレーションは、本当にこころの奥まで伝わって響いてくる。私の心の中のエネルギー粒子を揺さぶってくれる。平川地一丁目、フォーエバー。

posted by さとる at 23:46| 平川地一丁目