木村拓哉主演のドラマ「CHANGE」(フジテレビ系)の初回を、録画でやっと観た。突っ込みどころ満載という意味を含めて、とても面白かったけれども、感想を書くとなると、微妙で悩ましい。
例えば、小学校教師をしていた朝倉啓太(木村拓哉)が、議員をしてた父親とその後継者である兄の急死によって、補欠選挙に駆り出されて立候補するのだが、その投票日前日の演説がえらくカッコいい。
敵対する陣営が持ち出してきた、父親の汚職疑惑を問われ、否定せずに、父親は金をもらったと思う、だから自分は政治が大嫌いになった。今回の選挙に出るのもイヤだった……とホンネを静かに語り始める。
でも立候補してよかった、こうして父親のことを謝る場を与えられて、と演説は、そこにいる者たちが息を飲むような展開をしていく。
「世の中に必要な悪があるなんて子供たちには言えません」という小学校教員という設定ならではの名ゼリフも飛び出す。
そして最後は心を込めて、深々と頭を下げてお詫びをして、マイクを置いて去って行く。しかし、この演説が、選挙区の人々の感動を呼び、超僅差で対立候補を破って衆議院議員に当選してしまう。
第1回の放送はそこまでだ。さらに先の展開をみないと何とも言えないところもあるが、どうなんだろーか。
私もこの演説シーンを見てジーンと来てしまった。ただ普通のドラマと違って、その「人間としての誠実さ」が議員当選という結果になってしまうと複雑な気持ちになる。
つまり、このドラマの他の場面でも随所に出てくるが、選挙に勝つには、政策とか社会を変えようという志ではなく、ありとあらゆる手段と、大きな組織と、選挙民をつかむための派手なパフォーマンスが必要だ、という証明にも同時になっているからだ。
たぶん、木村拓哉演じる朝倉啓太は、これからも自分らしい目線で政治をやっていくのだろうけれど、たった1回の演説で、選挙結果が変わってしまう、というのもなんだか怖い気がする。
朝倉啓太ではなく、邪悪な意志あるいは必要以上の野心を持った人間が、演説の巧みさで政界に入ることもまた、可能なのだ。かつてヒットラーがそうであったように。
このドラマの視聴率はもちろん高かったようだけれど、テレビの前の視聴者がこのドラマから何を引き出すのかが気になる。ただドラマの面白さに酔っているだけはいられないリアルさを内に秘めているわけだから。
どんな人間が、議員になれるのか、なるべきなのか……そして朝倉啓太はいずれ総理になるという。その時彼の純粋な気持ちはどうなっているのだろうか……現実の政治にも影響を与えるかもしれない展開に、気が重くもなってくる第1回だった。
2008年05月15日
木村拓哉主演ドラマ「CHANGE」の微妙さ
posted by さとる at 23:24| 日記